深む秋。皆様如何お過ごしでしょうか。 10月初め、市内靭公園に秋薔薇なるものを見に出掛けてまいりました。 薔薇は、春にのみ咲く花とばかり思い込んでおりましたが、ちょっとした知り合いの方から、「薔薇は秋にも咲きます。勿論、春の薔薇は素敵ですけれど、秋の薔薇も清々しい美しさがありますよ。」との話しを伺い知り、わずかの時間ではありますが、一人ぶらりと出掛けてまいりました。 男性の私にも、花はいいものです。惜しみなく癒し和ませてくれます。ここでも又ありがたく感謝。 歳を重ねるごとに、感謝の気持ちは深くなりました。歳を重ねることは好いものです。若さは失われ身体は頑張りが利かなくなってまいりましたが、感謝が気負いなく無理なく自然に出来るようになり、幸せです。 歳を重ねる・・で、お話は変わりますが、今年満63歳となり、當寺住職に就かせて頂き、早や20年となります。 ぼちぼち、次の住職を探しておかねば・・・30世としての最期の大切なお役目でもあります。 祖父、父、私と、三代に至った世襲ではありますが、本来は一代限りが宜しいと、兼ねてより感じておりました。 三代目の私が申すのは、矛盾であるかもしれませんが、いつの時代からか、世襲が当然であるかのようになりましたが、果して如何なことなのかと考えさせられます。 血縁は尊いことではありますが、そのようなことには捉われず、最たる適格な人物に継承してゆくことこそが本来であるかと思うのであります。 幸か不幸か、私にはバトンタッチ出来る息子がおりません。万一、世襲をしたくとも出来ない現状があるのみです。 前述のような考え方の私でありますので、結果として、実子血縁での継承が出来ないことは、宜しかったのだと感じる次第でおります。 お蔭様をもちまして、當寺のお役目を、住職としてしっかりと務めてくれるであろう後継者候補を見出すことが叶いました。 されど、決定は今しばらくと考えております。当人の覚悟はじめ、当人の気持ちを大切に受けとめながら、見極めてまいる所存でおります。 檀家様をはじめとする周囲の方々のお力添えのお蔭様で、愚僧の私が20年に渡り、當寺住職を何とか務めてこられました。感謝でいっぱいです。 次期住職に切なる思いとして願うこと、是非とも引き継いで欲しいこと、それは、「感謝する心」です。神仏は申すまでもなく、あらゆることに感謝を忘れない、そのような人物に継承してまいりたいと、しみじみと思うのであります。
秋の夜長、少し肌寒く感じる身ではありますが、心は何かしらあたたかく、幸せを感じる今を生かさせて頂いております。 合掌
2012年(平成24年) 10月吉日
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